臨床検査 輸血検査

輸血検査 ~血液型編~

今日は血液型について勉強していきましょう。



🍎ABO血液型

<ABO血液型について>

・日本人は、A、O、B、ABの順に多い。(A:O:B:AB=4:3:2:1)

・ABO血液型遺伝子座:第9染色体

H:第19染色体、Rh:第1染色体

血液型でどうやって決まるの??

臨床検査技師さんはご存じの通り、
抗血清や血球試薬を使って、以下の法則に当てはめていきます

・Landsteinerの法則

 オモテ試験ウラ試験
抗A血清抗B血清B血球A1血球O血球
A型+0+00
B型0+0+0
O型00++0
AB型++000
※抗A、抗B抗体:IgM抗体

<ABO血液型検査>

では、検査手技について説明します

オモテ試験(血球側):スライド法 or 試験管法

ウラ試験(血漿側):試験管法

判定遠心条件:3400rpm×15秒 or 1000G×15秒

▶オモテ試験

【スライド法】

10%赤血球浮遊液(1滴)+抗血清(1滴)

・被検血球濃度:10%

・凝集判定時間:120秒

・凝集開始時間:15秒

【試験管法】

3%患者赤血球浮遊液(1滴)+抗血清(1滴)

・3%血球浮遊液:生理食塩水1ml+血球沈査1滴

抗A血清試薬:青色

 抗B血清試薬:黄色

・抗血清の凝集素価(検定基準):1:256以上

▶ウラ試験

【試験管法】

患者血漿(2滴)+抗原既知血球(1滴)

検査には不一致が付き物....💦
考えられる要因を知っておくことが大事!

<オモテ試験・ウラ試験の不一致>

要因 原因
血球側(オモテ試験)偽陽性・汎血球凝集反応
・後天性B(acquired B)
・寒冷凝集素
・直接抗グロブリン試験が陽性
・数か月以内に輸血歴をもつヒトの血球
偽陰性・variant血球
・白血病
・悪性腫瘍 (抗原活性の低下)
・卵巣嚢腫などにより血清中の型物質が異常増加 (試薬の抗体が中和された)
血清側(ウラ試験)偽陽性・variant血球
・不規則抗体
・寒冷凝集素症(自己免疫性溶血性貧血(AIHA))
・連銭形成
・血清蛋白の異常をきたした血清
・保存剤、浮遊液、試薬溶液などに含まれる成分に対する抗体を保有
偽陰性・生後1年未満の新生児
・免疫不全(ex.低γ-グロブリン血症)

🍎Rh血液型

ABO血液型のほかに、「Rh血液型」って聞いたことがあります!

そうそう
Rh血液型は輸血においてとっても重要。
次はRh血液型について説明していきます

Rh血液型といっても、実はさらに分けられていて、
「D、E、e、C、c」があります
一般的にRh(-)と言われているのは、Rh血液型の中のDが陰性ってこと!

むむむ...
Rhって単体の血液型じゃないのか...

・日本人のD陰性者:0.5%(200人に1人)

・Rh血液型遺伝子座:第9染色体

・抗原性が強い:D>E>e>C>c

 抗体産生が最も高い:E

・臨床的意義:輸血後副作用、母体不適合妊娠

検査ではRh(D)を主体で見ているんだけど、
やっぱりはっきり分からない検体があるんだよね。
その人たちは輸血の対応も変わってくるから把握しておこう!

<Weak D、Partial D>

・Weak D:量的異常 ・・・ D抗原の抗原量が少ない。

・Partial D:質的異常 ・・・ D抗原のエピトープの一部を欠損しているもの。

・妊産婦となった場合はD陰性

 輸血時に供血者となる場合はD陽性

 輸血時に受血者となる場合はD陰性 として扱う

さてさて、次はRh(D)の検査手技。
陽性か陰性かは超重要だから陰性確認試験まで実施します。

<Rh(D)の検出>

①Rh血液型直後判定

 ・3%患者血球浮遊液(1滴)+抗D血清(1滴)

 ・3%患者血球浮遊液(1滴)+Rhコントロール(1滴)

抗D血清0〜±
Rh−コントロール00
判定結果D陽性判定保留判定保留

②D陰性確認試験(間接抗グロブリン法)

1)37℃ 30~60分間 加温

2)生理食塩水にて3回以上洗浄

3)抗ヒトグロブリン血清(2滴)添加

抗D血清0
Rh−コントロール00
判定結果D陰性weak-D
partial-D
判定保留

③D陰性確認試験

D陰性の試験管にクームスコントロール血球を1滴加え、凝集することを確認

※クームスコントロール血球:赤血球にIgGを感作させたもの

▶クームスコントロール血球をいれる意義

・洗浄操作がうまくできているか

・抗ヒトグロブリン血清がしっかりと加えられているか

・抗ヒトグロブリン血清の質が保てれているかを確認する

次回は、さらに詳しい血液型検査を説明します。
輸血までの道のりはまだまだ!一緒に勉強しようね。

>>>次回、不規則抗体検査はこちら

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