臨床医学総論 臨床検査

臨床医学総論 ~泌尿器~

今回は泌尿器疾患についてざっくり説明します。


🍎糸球体腎炎

・急性糸球体腎炎:溶血性レンサ球菌

・慢性糸球体腎炎:IgA腎症、メサンギウム増殖性腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症

・IgA腎症:血尿が頻発、アジア人に好発

・糖尿病性腎炎:Kimmelstisl-Wilson糸球体硬化(結節性病変)、微量アルブミン尿の検出

糖尿病の3大合併症は、
①神経障害 ②網膜症 ③腎症

🍎ネフローゼ症候群

特徴的な検査所見

大量の蛋白尿(3.5g/日以上)

低蛋白血症(TP6.0g/dL以下、Alb3.0g/dL以下)

脂質異常症(高LDLコレステロール血症)

浮腫

一次性微小変化型ネフローゼ症候群
びまん性・巣状の増殖性糸球体腎炎
巣状糸球体硬化症
膜性腎症
膜性増殖性糸球体腎炎
その他(半月体形成性腎炎など)
二次性代謝異常(糖尿病性腎炎、アミロイドーシス)
膠原病、血管炎(ループス腎炎、Schönlein-Henoch症候群)
悪性腫瘍(ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、固形がん)
薬物、感染症、循環器疾患
過敏症(ハチ毒、ヘビ毒)、その他

🍎腎不全

・急性腎障害:

血清CRE値と尿量で診断します

 <診断>

 ①48時間以内に血清CRE値が0.3mg/dl以上上昇する

 ②血清CRE値が、それ以前7日以内にわかっていたか予想される基礎値より、1.5倍以上増加している

 ③尿量が6時間にわたって0.5mL/kg/時間未満に減少する

・慢性腎不全:原因疾患の種類は関係なし。末期の腎不全(尿毒症)に陥る一連の病態。

・尿毒症:

<尿毒症の定義>

腎不全などで老廃物の排泄機能が障害されると血中に尿成分が蓄積し、

高窒素血症(BUN,CRE)状態になり、種々の重い臨床症状が加わってた状態。

<検査データ>

①糸球体濾過率(GFR):20%以下

②血中BUN:70mg/dl以上

③CRE、K値上昇

・長期透析の合併症

🍎尿路感染症

・腎盂腎炎:膀胱から逆行性に感染。起因菌のほとんどが大腸菌。

・膀胱炎:尿道からの逆行性感染。起因菌のほとんどが大腸菌。

・尿道炎:性感染症が多い。

     淋菌尿道炎、非淋菌性尿道炎(C.trachomatisU.urealyticum

🍎腫瘍

・腎腫瘍

好発年齢に注意!

大人:腎細胞癌=Grawitz腫瘍

 腎腫瘍の85%、60歳♂

 尿細管上皮が腫瘍化した腎細胞癌

 肉眼的に割面の色が黄色であることが特徴

 組織型として淡明細胞癌が多い

 細胞内に脂肪とグリコーゲン顆粒(PAS染色好染)が増加

 血行的に肺・肝・骨に転移しやすい

小児:腎芽腫=Wilms腫瘍

 5歳以下(70%)の小児にみられる

 胎生期の腎組織中胚葉性から発生する悪性混合腫瘍。

 組織学的には未熟な糸球体や尿細管様構造物の増殖がみられる。

 腹部腫瘤として発見される。

 肺・腎・副腎への転移をみる

・膀胱腫瘍:無症候性血尿

      危険因子:化学発癌物質、喫煙、薬物、人工甘味料

・前立腺癌:高齢者に多く、80~90歳男性の90%以上に潜在がんがみられる。排尿障害あり。

・精巣腫瘍:青壮年に多い。ほとんどがセミノーマ(胚細胞腫瘍)

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