一般検査 臨床検査

一般検査 ~尿沈渣~

今回は尿沈渣についてです。

オススメ本

🍎作製方法

攪拌 → 分注 → 遠心 → 上清除去 → 染色 → 標本作製

①攪拌:尿をよく混和する(底部の沈殿物を均等に再浮遊させる)

②分注:目盛の付いた尿沈渣用スピッツ(そこのとんがったスピッツ)に10ml分注する。

③遠心:懸垂型遠心器(スウィング型)を用い、遠心力500G、時間5分

③上清除去:沈渣を0.2mlにする(デカント法) ・・・50倍濃縮したことになる

⑤染色:染色液を1滴(20μl)滴下して、スポイドで泡立てないようによく混和

    ※染色液滴下の際、スピッツの壁にそわさない

⑥標本作製:沈査1滴(15μl)滴下し、カバーガラスをかぶせる(水平にムラならないように、気泡が入らないように)

⑦鏡検:すみやかに顕微鏡で観察する

🍎鏡検法

接眼レンズの視野数は20を使用し、コンデンサーはさげて、絞りは絞る

▶弱拡大(LPF)=100倍

 全視野(WF)を観察 ・・・ 円柱・細胞集塊などの有形成分の概数や分布状態

▶強拡大(HPF)=400倍

 血球や上皮細胞の種類と数、円柱の種類などを観察

 コンデンサーはやや開口にして視野を明るくし、扁平上皮細胞の細胞質が灰色~灰白色にみえるように調節

🍎染色法

染色法手技・試薬染色結果
ステルンハイマー染色 (S染色)  超生体染色法 (死細胞を染める、生細胞は染まりにくい)
アルシアン青(ナショナルファスト青)
ピロニンB
円柱の基質、核:青色
円柱の基質以外、細胞質:桃~赤紫色
顆粒円柱、ろう様円柱:赤紫色調
赤血球:無染or桃~赤紫色調
脂肪顆粒:染色されない
ステルンハイマー・ マルビン染色 (SM染色)  超生体染色法
クリスタル紫
サフラニンO
RBC:無染~淡紫紅色
WBC(死細胞)
 → 核:濃紫色       
   細胞質:紫色
上皮細胞 
 → 核:紫色~濃紫色      
   細胞質:桃色~紫色
硝子円柱:淡紅色
硝子円柱、ろう様円柱:濃紫色
プレスコット・ブロディ染色ペルオキシダーゼ染色
好中球に特異的
2,7-FDAを色原体とした染色
尿中白血球(顆粒球系):青~青黒色 他の細胞(Ly、尿細管上皮細胞):赤色
ズダンⅢ染色脂肪成分の証明
・ズダンⅢ
・70%エタノール
コレステロール・エステル、脂肪酸:黄赤色  
コレステロール:黄赤橙色  
中性脂肪:赤色  
リン脂質、糖脂質:淡赤色
ベルリン青染色生体内色素の一つ
3価の鉄イオンを染める
ヘモグロビンに由来する鉄を含む黄褐色の誘導体であるヘモジデリン顆粒の証明に用いる
ヘモジデリン顆粒:青色
ハンセル染色好酸球の顆粒が赤色
ルゴール染色グリコーゲンを含有する細胞は全体が茶褐色
※中層型~深層型の扁平上皮細胞はグリコーゲンを多く含む

🍎鏡検所見

<赤血球>

出血部位により形態に変化がみられる

浸透圧やpHの影響も受ける

赤血球と鑑別を要するもの

▶脂肪球:円形状で中央部にくぼみは無く、光沢がある。

     ズダンⅢ染色で赤~オレンジ色、エーテルで溶解

▶シュウ酸カルシウム結晶:塩酸で可溶、正八面体の結晶がみられることもある。

▶真菌:円形~楕円形。出芽がみられることもある。

※赤血球は10%酢酸で溶解する

<白血球>

赤血球よりやや大型、核を有する、細胞質に顆粒が認める

細胞の生死の状態や浸透圧・pHなど尿の性状によって、大きさ、形態はさまざまに変化する

SM染色・S染色で、濃染細胞、淡染細胞、輝細胞に分けられる。

輝細胞:低比重尿中に細胞が膨化し、細胞内顆粒がブラウン運動して輝いてみえる

白血球と鑑別を要するもの

トリコモナス原虫、尿細管上皮、扁平上皮細胞の裸核、赤血球

▶ブレスコット・ブロディ染色:好中球(青~黒色)

▶ルゴール染色:白血球(褐色)、上皮細胞(淡黄色)

▶10%酢酸:赤血球(溶血)、白血球(核が明瞭になる)

🍎血球系の意義

▶赤血球

健常者:1個/HPF未満

※5個/HPFで潜血反応(+)=顕微鏡血尿

▶白血球

健常者:4個/HPF以下

増加する白血球主な疾患
好中球腎・尿路系の感染症や炎症性疾患
輝細胞・淡細胞が50%以上活動性の尿路感染症
濃染細胞膣分泌物の混入
好酸球アレルギー性膀胱炎、間質性腎炎、尿路結石
リンパ球腎移植直後の拒絶反応時、腎結核の乳び尿出現時
単球糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、抗癌薬治療中

▶大食細胞:組織球や単球系の貪食能を有する細胞

 腎・尿路系各組織の感染性疾患、組織崩壊亢進

🍎上皮細胞類

下記PDFご参照ください

🍎円柱類

下記PDFご参照ください

🍎塩類・結晶類

下記PDFご参照ください

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