今回は感染症についてざっくり説明します。
国試にも出題されがちな項目もなるので確認しましょう。
🍎尿路感染症
・尿沈渣での膿尿(WBC ↑↑)
・中間尿の採取
膀胱炎 | 腎盂腎炎 | |
感染部位 | 膀胱 (膀胱粘膜と粘膜下組織) | 腎盂・腎杯 (腎実) |
感染経路 | 尿道から上行性 | 尿道から上行性 ときに血行性 |
特徴 | 頻尿 排尿痛 尿混濁 | 悪寒・戦慄を伴う高熱 肋骨脊椎角の叩打痛 |
主な起因菌 | 大腸菌 | 大腸菌 |
治療 | 抗菌薬(内服)、飲水 | 抗菌薬(静注)、輸液 |
🍎消化器感染症
▶細菌性食中毒
病原体 | 原因食品 | 潜伏期間 | 備考 |
腸炎ビブリオ | 魚介類 | 10~18時間 | 塩分を好む 夏にピーク |
サルモネラ | 鶏卵、鶏肉 | 6~48時間 | 小児では菌血症を伴い重症化 |
腸管出血性大腸菌 (O-157) | 牛肉 | 3~8日間 | 溶血性尿毒症症候群(HUS) ⇒ベロ毒素 脳症の合併 |
カンピロバクター | 鶏肉、牛レバー | 2~5日間 | 血便を認める Guillan-Barre症候群の合併 |
ウエルシュ菌 | カレー、シチュー | 8~22時間 | 芽胞菌であり加熱に強い |
赤痢菌 | 魚介類 | 1~7日間 | 血便 激しい腹痛 |
コレラ菌 | 魚介類 | 6時間~5日間 | 激しい下痢 高度の脱水 |
エルシニア | 豚肉 | 1~14日間 | 無症状保菌者もいる |
リステリア | 乳製品、ソーセージ | 2~3日間 (長期間も) | 髄膜炎を合併しやすい |
黄色ブドウ球菌 | おにぎり サンドイッチ | 2~3時間 | 耐熱性毒素を産生 |
セレウス | 米の加工食品 | 6~15時間 | 芽胞菌 毒素性、感染性の性質を有する |
ボツリヌス | いずし、発酵食品、蜂蜜 | 4時間~8日間 | 神経麻痺 |
ノロウイルス | 二枚貝 | 24~48時間 | 冬季に流行 抗原検査で診断可 |
🍎髄膜炎
髄液検査所見を必ず確認しましょう!
代表的病原体 | 症状の経過 | 髄液所見 | 診断法 | |
細菌 | インフルエンザ菌、肺炎球菌 大腸菌、B群レンサ球菌 黄色ブドウ球菌、髄膜炎菌 リステリア | 急性 | 好中球増加 Glu低下 | 髄液のGram染色 抗原検出 培養 |
ウイルス | エンテロウイルス 日本脳炎ウイルス ムンプスウイルス 単純ヘルペスウイルス | 急性 | リンパ球増加 Glu不変 | 髄液・血清の抗体価 |
結核菌 | 結核菌 | 亜急性 | リンパ球増加 Glu低下 | 髄液の抗酸菌染色 培養、遺伝子検査 |
真菌 | クリプトコッカス | 亜急性 | リンパ球増加 Glu低下 | 髄液の墨汁染色 髄液・血中の抗原検出 |
🍎菌血症・敗血症
敗血症と菌血症、名前が似ていて定義もややこしいですが、図と一緒に覚えると分かりやすいかもです。
※SIRS;全身性炎症反応症候群
菌血症 | 敗血症 | |
定義 | 循環血流中から菌が検出される | 感染症によって引き起こされたSIRS |
主な原因 | 歯科治療、侵襲性医療行為 局所感染症、血管内カテーテル留置 | 重症感染症 強毒病原体による感染症 |
起因性病原体 | 細菌、真菌(カンジダ)など | 各種病原体 |
症状 | 悪寒、発熱など | 発熱(高熱)または低体温 悪寒・戦慄、頻脈、頻呼吸 意識障害、ショック、乏尿など 重症化でDICを合併 |
診断 | 血液培養 | SIRSの病態の確認 感染症の存在 |
🍎性感染症
疾患 | 病原体 | 特徴 |
AIDS | HIV | CD4陽性細胞の減少 細胞性免疫不全 |
非淋菌性尿道炎 | C.trachomatis (クラミジア・トラコマチス) | 母子感染 |
淋病 | 淋菌 | 🚹尿道炎、黄白色の膿 🚺子宮頸管炎、膿性帯下 |
梅毒 | 梅毒トレポネーマ | 先天梅毒:母体から胎児に垂直感染 検査:抗原試験(TPHA法、FTA-ABS) 脂質抗原法(STS) |
性器ヘルペス | HSV (単純ヘルペスウイルス) | HSVⅡ型が多い |
尖圭コンジローマ | HPV (ヒト乳頭腫ウイルス) | 子宮頸がんの原因ともなる |
膣トリコモナス | トリコモナス原虫 | 外陰や膣のそう痒感 帯下の増加 |
アメーバ赤痢 | 赤痢アメーバ | 男性同性愛者の間で広がりやすい |
🍎ウイルス感染症
ウイルス感染症はDNAウイルスかRNAウイルスかもセットで覚えた方がいいと思います。
・麻疹(RNAウイル):カタル症状 ⇒ コプリック斑
・風疹(RNAウイルス):飛沫感染
・手足口病:コクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71
糞便からの経口感染
・流行性耳下腺炎:ムンプスウイルス(RNAウイルス)
飛沫感染
・日本脳炎ウイルス:コガタアカイエカが媒介
・ポリオ(RNAウイルス):乳幼児が罹患する中枢神経系の感染症
・伝染性単核球症:EBウイルス・・経口感染
感染したBリンパ球が、Tリンパ球を活性化(異型リンパ球)
・サイトメガロウイルス:伝染性単核球症、先天性感染(胎児)、日和見感染
巨細胞封入体
・伝染性紅斑(リンゴ病):ヒトパルボウイルスB19
🍎真菌感染症
・カンジダ症(C.albicans):菌血症の頻度が高い(血管カテーテル留置)
血中β-D-グルカン上昇
・アスペルギルス症(A.fumigatus):呼吸器症状
画像診断で球菌(fungus ball)
・クリプトコックス(C.neoformans):鳥類の糞
髄膜炎や皮膚の病変、墨汁染色
・ニューモシスチス肺炎(P.jirovecii):飛沫感染、間質性肺炎を発症しやすい
すりガラス様陰影
・放線菌:アクチノミセス(A.israelii)
慢性化膿性肉芽腫性疾患
黄色顆粒状の菌塊(硫黄顆粒、ドルーゼ)
🍎感染症の分類
これは国試で高頻度ででる範囲!!
1~3類は全部覚えておくのがベスト!
1類 | エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、 痘そう、南米出血熱、ペスト、 マールブルグ病、ラッサ熱 |
2類 | 急性灰白髄炎(ポリオ)、ジフテリア、 重症急性呼吸器症候群(SARS)、 結核、鳥インフルエンザ(H5N1) |
3類 | 腸管出血性大腸菌感染症、コレラ、 細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス |
4類 | E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽、 鳥インフルエンザ(H5N1)、ボツリヌス症、 マラリア、野兎病、ウエストナイル熱、 エキノコックス症、オウム病、オムスク出血熱、 回帰熱、キャサヌル森林病、コクシジオイデス症、サル痘、 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、腎症候性出血熱、 西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、チクングニア熱、つつが虫病、 デング熱、東部ウマ脳炎、ニパウイルス感染症、日本紅斑熱、 日本脳炎、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、鼻疽、 ブルセラ症、ベネズエラウマ脳炎、ヘンドラウイルス感染症、 発しんチフス、ライム病、リッサウイルス感染症、リフトバレー熱、 類鼻疽、レジオネラ症、レプトスピラ症、ロッキー山紅斑熱 |
5類 | 新型コロナウイルス インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ感染症を除く)、 ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)、クリプトスポリジウム症、 後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)、 アメーバ赤痢、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、急性出血性結膜炎、 クラミジア肺炎(オウム病を除く)、クロイツフェルト・ヤコブ病、 劇症型溶血性レンサ球菌感染症、細菌性髄膜炎、ジアルジア症、 侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性髄膜炎菌感染症、 侵襲性肺炎球菌感染症、水痘、性器ヘルペスウイルス感染症、 尖圭コンジローマ、先天性風しん症候群、手足口病、伝染性紅斑、 突発性発しん、破傷風、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症、 バンコマイシン耐性腸球菌感染症、百日咳、風しん、 ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、へルパンギーナ、マイコプラズマ肺炎、 無菌性髄膜炎、薬剤耐性アシネトバクター感染症、 薬剤耐性緑膿菌感染症、流行性角結膜炎、流行性耳下腺炎、淋菌感染症 |
指定感染症 | 鳥インフルエンザ(H7N9) |
※人畜共通感染症:トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症
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