国家試験対策だけでなく、臨床においても重要な血液ガス!
ややこしい血液ガスの読み方をざっくり説明します。
私はこの本で勉強しました!
🍎目的
そもそも血液ガスって何をみているの?
PaO2、PaCO2を測定する目的は、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する装置としての肺の働きを知るためと、身体への酸素供給能を調べるため!
pHを測定することは、体内の酸塩基平衡の状態を知るのに極めて有用なんだよ。
<静脈血>
▶酸素化は評価不能(SpO2とO2投与条件で評価する)
▶換気の間接的評価は可能(一般的にPVCO2>PaCO2)
▶酸塩基平衡異常の推測は可能
<臍帯血>
pH値
分娩時における胎児の代謝異常、酸素化に関する情報 ⇒ 分娩時、胎児にアシドーシスがあったかどうか。
▶pH低下 = 分娩中に胎児の組織細胞への酸素が不十分であった。
▶脳性麻痺発症の要因が、分娩直前の低酸素・虚血の因子によるものか、分娩時の要因は関与していないかが判定できる
🍎基準値
✏️ 基準値は覚えておきましょう
pH | 7.4±0.05 |
PaCO2 | 40±5 mmHg |
PaO2 | 90±10 mmHg |
HCO3- | 24±2 mEq/L |
BE | -2~+2 mEq/L |
CaO2 | 19.2 ml/dl |
CaCO2 | 48.5 ml/dl |
P50 | 26~28 mmHg |
🍎3STEP法
血液ガスが重要なのはわかるけど、どこをみればいいか分からなくなる...
血液ガスが苦手な人は多いですよね。
まずは、3つのポイントを攻略すれば大丈夫っ
①pH(7.4±0.05)をみる👀
②PaCO2(40±5)をみる👀
③HCO3-(24±2)を見る👀
始めは、pHの変化と矛盾しない矢印を探す!!
そいつが主犯です (◉Θ◉)
例えば...
PaCO2:57mmHg、HCO3-:30mEq/L、pH:7.26の場合どうかな?
pHは低い、CO2は高い、HCO3-も高い
ん...?アシドーシス?アルカローシス??
あっ!!でも、pH↓でPaCO2↑が上の表と一緒だ!!
その通り!!
そしてCO2が上昇しているから、「呼吸性」
つまり、この場合は、呼吸性アシドーシス!
この本もオススメ
🍎アニオンギャップ
次はアニオンギャップについて勉強しましょう。
アニオンギャップは、代謝性アシドーシスの評価で重要!!
覚えなきゃいけない項目です。
▶アニオンギャップ
通常測定されない陰イオンである無機質(H2SO42-、HPO42-)、有機酸(乳酸、ケト酸)、蛋白質を反映
AG(12±2)=Na+ー(Cl-+HCO3-)
※補正AG
血清アルブミン1g/dlの低下に対して、AGは2.5mEq/L低値になるので、補正が必要
補正AG=8-(4-血清アルブミン)×2.5
▶AGによる代謝性アシドーシスの鑑別
AG ↑ | 乳酸アシドーシス ケトアシドーシス(糖尿病性、アルコール性) 腎不全(尿毒症)、敗血症 薬物中毒 サリチル酸、アスピリン、メタノール、エタノールなど |
AG → | HCO3-の喪失(下痢など) 甲状腺機能亢進 腎機能障害(軽・中度の腎不全) 尿細管アシドーシス |
例)乳酸(Lactate)
酸素不足のときにつくられるエネルギーの副産物
乳酸(Lactate)↑ :組織への酸素供給ができていない状態 = 緊急性アリ!!
🍎酸素状態
PaO2が低下した場合を低酸素血症といい、PaO260mmHg以下を呼吸不全という。
そのうち、PaCO2が45mmHg未満の場合をⅠ型呼吸不全、45mmHg以上をⅡ型呼吸不全という。
酸素濃度はパルスオキシメーターでも血液ガスでも値は一緒かな?
血液ガスではPaO2とSaO2などが測定されています。
ここでは違いをみていきましょう。
▶PaO2:血中のO2
呼吸不全の診断にも必要
▶SaO2:Hbと結合しているO2の量 ≒ SpO2(パルスオキシメーター)
ヘモグロビンは4個のO2と結合できる
しかし、O2よりCOとの方が結合しやすい。
▶SaO2:Hbと結合しているO2の数 ・・・ 血液ガスでしか分からない
▶SpO2:Hbと結合している数 ・・・ COとの結合かO2との結合かは分からない!
つまり、一酸化炭素中毒の患者さんはパルスオキシメーターでは正常値がでてしまうんです💦
だからSaO2で真の酸素濃度をみることが大事
<補足>
🍎CO2ナルコーシス
COPD(Ⅱ型呼吸不全) ・・・ 普段からCO2が溜まっている
【健常人】
CO2貯留 ⇒ 呼吸中枢が刺激される ⇒ 呼吸ドライブON
【慢性Ⅱ型呼吸不全】
CO2がいつも貯留 ⇒ 呼吸中枢が刺激され続けている ⇒ 呼吸ドライブ反応なし
O2が低下した時に呼吸ドライブがかかる。
⇒ O2が投与されると低酸素刺激がなくなる ⇒ 呼吸の刺激が弱まる
⇒ 普段から悪い呼吸が追い打ちをかけて弱まる
⇒ CO2がさらに溜まってしまう
⇒ 意識障害
🍎ヘモグロビン酸素解離曲線
ヘモグロビン酸素解離曲線は、体温、pH、Pco2、2,3-DPGなどによって左右に移動する。
左方移動:低体温、Pco2↓、pH↑、2,3-DPG↓
右方移動:高体温、Pco2↑、pH↓、2,3-DPG↑ ・・・ 酸素とくっつきやすい