今回は少し変わった検査(唾液中のABO(H)型物質の検出、血清中のA型、B型転移酵素活性の測定)について説明していきます。
<糖鎖抗原>
ABO血液型は糖転移酵素(Le転移酵素、H転移酵素、A転移酵素、B転移酵素)が関与します。
A型 ⇒A抗原:N-アセチルガラクトサミン
B型 ⇒B抗原:ガラクトース
O型 ⇒H抗原:末端の糖が1つない
🍎唾液中のABO(H)型物質の検出
<分泌型・非分泌型>
体液、特に唾液を用いてABO血液型の判定を行うことができます。
亜型・変種の判定には欠かすことが出来ない検査です。
体液中に水溶性のABO抗原(型物質)を分泌しているヒトを分泌型(SeSe,Sese)、分泌していないヒトを非分泌型(sese)といい、非分泌型でも少しは型物質を分泌しています。
この分泌型、非分泌型はLewis血液型と相関性を示す
⇒ Lewis抗原はABO抗原と同一の酵素(Le酵素、H酵素)が関与するため
抗血清の反応 | 表現型 | 日本人の頻度(%) | 型物質の分泌 | |
抗Lea | 抗Leb | |||
0 | + | (a-b+) | 70 | 分泌型 |
+ | 0 | (a+b-) | 20 | 非分泌型 |
0 | 0 | (a-b-) | 10 | 分泌型・非分泌型 |
<唾液中の型物質の検出>
▶唾液の前処理
採取後直ちに20分間煮沸加熱処理(唾液中の酵素や細菌を不活化)
→ 処理後冷水で冷やし、2500~3000rpm 5分
→ 上清を分取
▶試薬
・抗A、抗B血液型判定用抗血清(原血清 1:1024)
※1:16~1:32に調節する
・抗Hレクチン
・3%A型、B型、O型赤血球浮遊液
この検査は赤血球凝集抑制反応を原理としています。
赤血球凝集抑制反応???
抗体とウイルスとの結合によって、ウイルスと赤血球との反応を阻止(抑制)する反応のことです。
例えば、赤血球凝集能を有するウイルスにウイルス抗体を反応させれば、赤血球を加えても凝集は生じない。
このような反応系を赤血球凝集阻止(抑制)反応と呼び、ウイルス感染の初期抗体や回復期抗体価測定ができます。
唾液(抗原) + 抗A抗体 + A1赤血球試薬の場合、
唾液がA型・O型なら非凝集、B型なら凝集ってことですね!
その通り!
じゃあ次は、ABO血液型の転移酵素について説明します。
🍎血清中のA型、B型転移酵素活性の測定
<糖鎖抗原>
さっきも説明した通り、ABO血液型は転移酵素によって決まります。
A型 ⇒A抗原:N-アセチルガラクトサミン
B型 ⇒B抗原:ガラクトース
O型 ⇒H抗原:末端の糖が1つない
<測定原理>
O型血球試薬に基質試薬(N-アセチルガラクトサミン)を加え、
そこにA型転移酵素を含む検体血漿を加えると、O型血球試薬がA型血球になります!
そこに抗A抗体を加えると凝集反応が起こります。
この検体血漿の量を調整しながら、凝集反応を見ます。
これはABO式血液型で、オモテ試験とウラ試験が不一致を示す次の場合の判定の補助となる!
<試薬>
・A型、B型転移酵素活性測定試薬「ガルサーブAB」
・洗浄50%O型赤血球
・血液型判定用抗A血清、抗B血清
<手技>
血清、血漿以外に尿でも測定できる
①患者血清(0.5ml)+酵素用緩衝液(0.2ml)+酵素用基質(0.1ml)
②37℃ 5~10分間加温
③50%O型赤血球浮遊液(0.05ml)
④A:37℃ 2時間、B:37℃ 30分 加温
⑤3400rpm×15~20秒遠心後、上清を捨て生食で2回洗浄
⑥3%赤血球浮遊液(A型転換及びB型転換)とする
⑥抗血清の2n希釈系列を作成
<結果の解釈>
1)亜型など、血球の抗原性が極度に弱い場合
①亜型のうち、Ax、Ael、Bx、Belでは酵素活性は認めない
②その他の亜型の酵素活性は一般的に低い(1:16前後)
※ボンベイ型、パラボンベイ型では血清中の抗H、抗HIが高いのでOgata赤血球で吸着処理をする
2)Oh型(ボンベイ型)の場合
①ボンベイ型の酵素活性は認める程度にとどまる。
②パラボンベイ型(Ah、Bh、ABh)の酵素活性は1:256程度と高い
3)白血病など、悪性疾患により抗原性が低下した場合
4)汎凝集反応を示す場合
5)acquired Bのような後天性の原因により血液型が変化している場合
6)キメラの場合
これにて輸血検査は終わりっ
お疲れ様でした😊
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