今回は赤血球系疾患について説明します。
🍎貧血
▶赤血球指数
▶貧血の分類
小球性貧血 | 正球性貧血 | 大球性貧血 |
MCV≦80(fl) | MCV=81~99 | MCV>100 |
MCHC<32(g/dl) | MCHC=32~36 | MCHC=32~36 |
①鉄欠乏性貧血 ②鉄芽球性貧血 ③サラセミア ④無トランスフェリン血症 ⑤感染・炎症・腫瘍に伴う出血 | ①溶血性貧血 ②骨髄の低形成 (再生不良性貧血 、赤芽球勞) ③急性出血 ④二次性貧血 (肝、腎障害など) ⑤脾臓機能亢進 ⑥急性白血病、MDSの一部 ⑦発作性夜間血色素尿症 | ①巨赤芽球性貧血 VB12欠乏(悪性貧血、胃全摘) 葉酸欠乏 ②MDS ③肝障害、甲機能低下症 ④網赤血球の増加 (溶血性貧血、急性出血、 各種貧血からの回復期) |
▶小球性貧血
<鉄欠乏性貧血>
★鉄の吸収低下
★鉄の需要増大
★鉄の喪失促進
①鉄欠乏
⇩
②貯蔵鉄を使って補う(FRE↓↓)
いっぱい鉄を運ぶためTf↑↑
⇩
③貯蔵鉄が尽きる(血清鉄↓↓)
Tf自体は増えてしまったまま(Tf(UIBC)↑↑、TIBC↑↑)
⇩
④鉄がないからHbを作れない
(小型RBC、菲薄RBC)
⇩
⑤最終的に組織鉄も使用する
(スプーン状爪、Plummer-Vinson症候群(舌炎、口角炎、嚥下障害)、異食症、萎縮性胃炎)
鉄は細胞増殖に欠かせない因子!
⇒ 細胞増殖能の高い、皮膚や爪、粘膜に症状がでやすい。
※鉄剤投与の1週間後、網赤血球増加(網赤血球分利)
<サラセミア>
・常染色体優性遺伝
・αサラセミア:α鎖に異常
βサラセミア:β鎖に異常
・標的RBC
・溶血性貧血の所見がみられる
・ホモ結合体は重症になる
Mentzen index(MI)
MCV[fL]/RBC[×106/μL]
※MI<13でサラセミアを疑う!
<鉄芽球性貧血>
・ヘム合成障害による鉄の利用障害
・先天性:伴性劣性遺伝、ミトコンドリアDNA異常
後天性:特発性(MDS)
続発性(薬剤性、慢性感染症、RA、鉛中毒など)
・環状ジデロブラスト(RS)
・二相性貧血(末梢血で小球性、正球性のRBCが出現)
▶正球性貧血
<再生不良性貧血>
※先天性 ⇒ Fanconi症候群
①骨髄造血幹細胞レベルの障害、骨髄の中で細胞が作れない(骨髄低形成、脂肪髄化)
⇩
②網赤血球低下および汎血球減少
⇩
③リンパ球の相対性増加(主に好中球の産生障害が起こる)
⇩
④血球の形態異常はない
汎血球減少をきたす疾患
・PNH
・再生不良性貧血
・白血病
・MDS
・悪性貧血
・癌の骨髄浸潤
「夜に再生する白い異形な悪性の癌」と覚えましょう。
<赤芽球癆>
・骨髄の中で赤芽球だけ作れない(白血球、血小板には異常なし)
⇒ 骨髄の赤芽球↓↓
末梢血の網赤血球↓↓
・先天性:Diamond-Blackfan貧血
後天性:急性(パルボウイルスB19感染)
慢性(胸腺腫)
*詳しくは次回*
<溶血性貧血>
・造血機能自体に異常はない
・RBCの寿命が短縮し壊れやすい(溶血しやすい)
▶大球性貧血
<巨赤芽球性貧血>
①DNA合成障害 ⇒ ビタミンB12欠乏または葉酸欠乏
⇒ 核の成熟が遅れる
②RNAと蛋白の合成は正常
⇒ 細胞質の成熟は正常に行われる
⇩
核-細胞質成熟乖離
・ビタミンB12欠乏:悪性貧血
胃全摘(切除後5~6年後)
自己抗体(抗内因子抗体、抗胃壁細胞抗体)
・葉酸欠乏:アルコール中毒、薬剤性、吸収不良など
▶赤血球増加症
<真性多血症>
・造血幹細胞の腫瘍性増加
EPOに関係なく勝手に増えてしまう😫
・汎血球増加
・EPO正常~やや低下
※腎は酸素分圧が低下するとEPOを産生し、赤血球に酸素を運んでもらおうとするが、真性多血症では赤血球がいっぱいあるので、酸素分圧が低下しないため、EPOは増加しない
・JAK2チロシンキナーゼ遺伝子の活性化
🍎赤血球形態異常
下記PDFをご参照ください