今回は呼吸器疾患をざっくり説明します。
🍎感染性肺疾患
▶細菌性肺炎
・市中肺炎:病院外で発症した肺炎で、健常者が罹患することもある。
・院内肺炎:入院48時間以降に新しく出現した肺炎で、多くが免疫抑制状態である。
それぞれの肺炎の原因菌は国試にも度々でているので覚えておきましょう。
市中肺炎 | 肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ、クラミジア |
院内肺炎 | 緑膿菌、MRSA |
・誤嚥性肺炎:嫌気性菌など
・非定型肺炎:マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎など
β-ラクタム系抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系)が無効
▶肺結核症
ほとんどが経気道的に飛沫核感染により感染する。
飛沫感染じゃくて飛沫”核”感染!!
インターフェロンγ遊離試験(BCGの影響を受けない)、ツベルクリン反応
【治療】
イソニアジド(INH)+リファンピシン(RFP)+ピラジナミド(PZA)+エタンブトール(EB)またはストレプトマイシン(SM)
※予防投与や潜在性結核の治療ではINHあるいはRFPが単剤で使用される。
🔶サルコイドーシス:非乾酪性類上皮細胞肉芽腫
▶ウイルス性肺炎
・インフルエンザ:上気道感染が主体。全身症状(高熱、倦怠感など)を伴う。
・感冒(風邪):ライノウイルス、アデノウイルス、RSウイルス
・サイトメガロウイルス肺炎:副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制剤を使用中の合併症として重要
▶肺真菌症
・外因性真菌:アスペルギルス、クリプトコッカス、ムコールなど
・内因性真菌(常在真菌):カンジダなど
・輸入真菌症:コクシジオイデス、ヒストプラズマなど
以前は原虫とされていたニューモシスチスは、現在は真菌に分類されている
(補足)β-D-グルカン陽性・陰性の真菌は...?
陽性・・アスペルギルス、ニューモシスチス、カンジダ
陰性・・クリプトコッカス、ムコール
▶マイコプラズマ肺炎
市中感染の10~15%
中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎の併発もある
迅速検査可能
▶クラミジア肺炎
C.psittaci(オウム病):鳥類の排泄物から感染。
🍎閉塞性肺疾患
▶慢性閉塞性肺炎(COPD)
終末気管支より末梢の気腔が永続的に異常拡大し、気腔の破壊を伴う不可逆性の病変
原因:タバコ煙、大気汚染、呼吸器感染症、α1-アンチトリプシン欠損(遺伝子異常)
Hoover徴候・・吸気時に下部肋間が内側へ陥凹する奇異性運動
🍎拘束性肺疾患
▶間質性肺炎(肺線維症)
・肺胞隔壁を病変の主座とし、原因不明の何らかの刺激により、肺胞隔壁の結合組織だけでなく、基底膜、血管内皮細胞、肺胞上皮細胞に浮腫、細胞浸潤をきたす非細菌性炎症が生じる疾患。
・炎症が進行するにつれて肺胞隔壁に膠原繊維を主とする線維化が起こり、肺胞隔壁は肥厚する。このため、臨床的には肺が固くなり伸びにくくなる。
原因:①ウイルス性肺炎
②膠原病に伴うもの
③放射線肺炎
④パラコート中毒(農薬の一種)
🍎肺循環障害
▶肺血栓塞栓症
下肢深部静脈血栓が先行することが多い!
肺の血管が詰まり、息苦しさ、呼吸困難を生じる。
エコノミークラス症候群として知られている
原因:抗リン脂質抗体症候群、悪性腫瘍、妊娠、経口避妊薬、長期臥床など
🍎胸膜疾患
胸膜とは、肺を覆う2枚の薄い膜で、
膜と膜の間には少量の胸水があります。
▶胸膜炎
胸水貯留を伴う
漏出性胸水 | 滲出液 | |
外観 | 黄色透明 | 混濁、血性 |
胸水蛋白/血清蛋白 | 0.5未満 | 0.5以上 |
胸水LD/血清LD | 0.6未満 | 0.6以上 |
原因疾患 | 心不全、腎不全、肝不全など 全体性疾患 | 肺炎随伴性胸膜炎、 結核性胸膜炎、 悪性胸水(がん性胸水)、 膠原病、寄生虫感染、 薬剤性胸膜炎など |
▶気胸
肺表面からの漏れにより、胸腔に空気が貯留する疾患。
・原発性自然気胸:10~30代のやせ型🚹
肺嚢胞(ブラ、ブレブ)の破裂が原因
・続発性自然気胸:COPD、間質性肺炎、悪性腫瘍、肺リンパ脈管筋腫症、Marfan症候群
・緊急性気胸:灰が高度に虚脱し、縦隔が健側に偏位する
🍎肺がん
【組織型】
①小細胞癌
②非小細胞癌:扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌
【発症率順】
①腺癌 ②扁平上皮癌 ③小細胞癌 ④大細胞癌
【危険因子】
喫煙、アスベスト(石綿)
【特徴】
・60歳代に好発し、4~5:1で男性に多い。
悪性腫瘍での死亡原因
♂ 1位
♀ 2位
・肺癌の多くは気管支粘膜上皮由来である。
・血行性転移では脳や肝臓に多い。
※傍腫瘍症候群・・肺がんからのホルモン産生や抗体産生により症状を認める(腫瘍随伴症候群)
⇒Lambert-Eaton症候群での筋力低下、ADH不適合分泌症候群での意識障害など
【腫瘍マーカー】
・腺癌:CEA、SLX
・扁平上皮癌:SCC、CYFRA
・小細胞癌:NSE、ProGRP
🍎悪性中皮腫
初回暴露から平均40年の潜伏期を経て発症する!
発症までとっても長い!!
原因:アスベスト(石綿)
免疫染色:カルレチニン(+)
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